「昨日もずーっと夜に歩き回ってたんだって。」
恭也に告げ口するようにそう言うユリ。
そして恭也の方を見ると、明らかに不機嫌な顔になる恭也。
うわ~、怒っちゃった?
「紫緒、何度も言ってるだろ。あそこは危ないんだ。特に紫緒みたいな家柄の人は色々と巻き込まれやすい。それくらい紫緒もわかってるだろう?」
心配そうな顔でそういう恭也。
「わかってるよ、恭也。でも心配しすぎだよ。今まで何もなかったんだし。」
でも私はいつもの笑顔で返す。
そんな私に恭也はいつも困ったような、悲しそうな顔をする。
申し訳ないけど、これをやめるつもりはないんだよね。
「今まで何もなかったからって、これから何もないとは限らないじゃないか。それに京子さんたちも…」
「あ、もう授業はじまっちゃう。行こう?」
まだ話してる途中だったけど、わざと被せてクラスへ向かう。
いまは両親のことなんて話したくない。