そして車を出してから数十分。



「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」



「行ってくるわ。」



運転手に送り出されて来たのは慶山学園の高等部。



日本屈指の超セレブ校で、校舎も学校というよりどこかのお城みたい。



初等部からすっかり見慣れた校舎の前にいると、後ろから声が。



「紫緒。」



振り向かなくても誰かわかる。



「ユリ。おはよう。」



本郷百合華、通称ユリ。



世界でもトップクラス、日本を代表する本郷財閥のご令嬢。



容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備、完全無欠。



天性の女王様で、この学園を支配するクイーン。



それが私の親友のユリである。



「紫緒、あんた今日は一段と血の気がないけど、また夜遊び?」



「そんな顔しないでよユリ。結構はまるよ?夜遊び。」