とりあえずあっちの方へと唯斗くんについていき行くと、もうすでにユリは大激怒していた。
「ちょっとあんた何してくれんのよ?!」
「す、すいません。」
ユリが怒鳴ってるのは少し背の低い、高校生か中学生くらいの男の子。
短い黒髪に切れ長の二重で、いかにもスポーツ少年みたいな感じ。
「おい一太、なにしてんだよ。」
「いや、ドリンクバーでジュース入れて席に戻ろうとしたときにぶつかって…。」
そしてどうやら唯斗くんの知り合いらしい。
「ちょっと唯斗、一太、なんの騒ぎ?」
どこからか現れた女の子。
こげ茶のショートヘアにワンピースを着た、普通の女の子だ。
で、この子も唯斗くんと一太くんの知り合いらしい。
「すみませんお客様、クリーニング代はこちらの方で…。」
「はぁ?!クリーニング代?!こんなジュースの染み、おちないわよ!」
自分のファッションには尋常ではないくらい気を使っているユリの服は、もちろんすべてブランド品。
それを汚されたため、血相を変えて怒るユリ。
「じゃあ、弁償しますから…。」
無表情に、一太くんがそういう。