「唯斗くんはバイトいくつやってるの?」


「えっと、今は3つ掛け持ちしてますね。」


3つも?


バーの仕事は夜遅くまでだし、大変そう。


「そう、大変ね。」


少し同情しながらそう言うと、意外にも彼は笑顔を見せた。



「いえ、楽しいですし。」



ああ、わかった。



私が彼に興味を持った理由。



―パシャッ



「きゃっ」


え?



「ユリ?」


音の方を見ると、濡れているバッグと服を見ながら呆然とするユリと、ユリの前にコップをもって驚いている男の人。



「一太?!」


唯斗くんもあっちの方を見てからそう叫んだ。



一太?