「は、ちょっと紫緒、なんでこんなとこに…!」
嫌がるユリを無視して中に入る私。
「いらっしゃいませ~…って、紫緒さん?!」
「こんにちは。」
ウェイターの制服で出迎えてくれたのは唯斗くんで、私の顔を見てびっくりしてる。
「え、バー以外のところで会うなんて初めてですね!」
「そうね。」
席へ案内しながら話をする私と唯斗くんに対して、ユリはめちゃくちゃ不機嫌な顔をしてる。
「では、ごゆっくりどうぞ。」
唯斗くんが仕事に戻っていく。
「ちょっと紫緒、あんたどういうつもり?私をこんなちゃちな所に連れてきて。誰あの男。説明しなさいよ。」
眉間にしわを寄せて一気に喋るユリ。
ユリには悪いけど、これでもしないと唯斗くんに会えないなから。
「あの人が私が言ってた面白い人。」
笑顔で返しながらメニューを見る。
なにここ、信じられないくらい安い。