「なんなの、その目的って。」
今まで理由もなくただふらふら歩いてるだけだった私の目的に少し興味を持ったように、ユリは聞き返す。
「前に言ったでしょ、面白い人がいるって。」
「ふ~ん。何?あんたやっぱりその人と付き合うの?」
「だからそういうんじゃないって。ただ興味をもっただけ。」
私もユリもパックをしてるから表情は分からないけど、たぶんユリは怪訝な顔をしてるんだろう。
だって私が付き合う気なしでこんなに男に興味を示すなんて初めてだし、
むしろ私から男の方へ近づいたのも初めて。
「天使の皮をかぶった悪魔が興味を持つ男なんて恐ろしいわね。」
天使の皮をかぶった悪魔。
ユリは私のことを時々そう呼ぶ。
まあ私にはぴったりなあだ名なんだけど。
「本郷様、三国様、パックとネイルアートが終了いたしました。まだヘアアレンジやマッサージなど色々ありますが、いかがなさいますか?」
「今日のところはこれでいいわ。支払いはこれでお願い。」
パックとネイルが終わったあと、店員さんにカードを渡すユリ。
「三国様もそうされますか?」
ユリからカードを受け取った後、私にそう尋ねる店員さん。
「ええ、私もカードでお願い。」