「まあなんらかの理由があるんだろうけど、心配してたぞ、唯。」



カクテルを飲む私の前に立ち、そう話すおじさん。



心配してた?



「ブレスレットだけ残して消えちゃうんだもんな、そりゃあ心配するわ。」



昨日わざと置いていったブレスレットを私の前にぶら下げるおじさん。



たしかに悪いことしたとは思ってる。



でもあのまま送ってもらってたら、私が三国家の人だってことばれてたし、それは絶対ダメ。



いつネタがマスコミに売られてスクープにされるかわかんない。



『三国の令嬢、激しい夜遊び?!』みたいな。



「瀬名さん、洗い物終わりました…ってえ?!」



「お、唯!いいところに!!」



裏からひょっこり顔をだした唯くん。



私の顔を見てかなり驚いてる。



「こんばんは。」



にっこりと微笑んでそういうと、



「こ、こんばんは。」



そう返ってきた。