繁忙期に入った。
他のフロアは
ピリピリしだした。

まだうちのフロアは
のんびりしてる。


プライド女は
相変わらずツンケンしてる。

そして仕事をたんたんとこなしていく。

弱みは絶対見せないタイプだ。

たまに言う言葉が
センパイをイライラさせてることをこいつは知らない。

アホ女は毎日バタバタしてる。

センパイはいつもアホ女の話をする。

出来が悪すぎるからだろうか、話題がつきない。


からかってやろう。

同期とアホ女の名前を読んだ。

「あさみ」

アホ女は
一瞬戸惑ったようだが
「はい」と言った。

まるで
子犬のように従った。

「ご飯買いに行け。」
「分かりました。」
怒ると思ったのに
意外に素直だった。


脱げって言ったら
こいつならやりかねない。

アホな奴。
同期も笑っていた。




ある日
別のセンパイがアホ女に
アホと言った。

アホ女は
笑っていた。

俺は
一応フォローした。


でも
アホ女は笑っていた。

変な奴。
やっぱり苦手だ。




そして
日曜出勤した日
アホ女は
会社に忘れ物を取りに来た。


最初
電話がかかってきた時は
何事かと思った。


忘れ物だからと
すぐ戻ると思ったから
下で煙草を吸った。

なのに
戻ってこない。

イライラする。

アホ女は
慌てて下に行こうとした。

「鍵閉めなきゃいけないんだ」
「すみません」

見送ってデスクに座る。

見覚えのないメモとお菓子があった。

お忙しいところ、お邪魔してすみませんでした。
お仕事頑張って下さいね。


笑ってしまった。


携帯が鳴る。
アホ女からだ。

「どうした??」
「今更なんですけど、何かお手伝いすることありますか??」
「もうないよ。ありがとぉ。」
「何か欲しいものとかありませんか???」
「気をつかってくれてありがとぉ。頑張ってね」
「分かりました。失礼します。」


やっぱりアホな奴。
また笑ってしまった。