高台にある、公園の展望台で、僕たちは寄り添い、遠くを走る一筋の光りを見つめていた。


微かに響く、静かに揺れる音を聞きながら…

真っ暗な夜空は、まるで無機質な空間のように見え、ひき込まれそうになる。


そんな時…君は何を願う?



並んで座る君の唇に、触れ合うほど、傍にいたかったのに、この距離が虚しい…


『もっと傍においで』

そう口に出来ない僕に、微笑みかけてから前を向く君。


その胸には大切な誰かがいるんだね…


「あのね、私…」


あの日、そう君が語り出したのは、夕焼けが消えかけた音楽室だった。


君の長い指先が奏でるメロディーに、君の詩をのせると照れたように笑ったね。


それが、僕たちの全てだったんだと、今はわかる…


大事な話しがあるからと、今日を選んだのにまだ何も話さない君。

好きなんだろ?


あいつのこと。


僕じゃ、ダメなんだろ?



次の電車が、何本通り過ぎようとも、この高台からは動かない。



君が本当のことを、話してくれるまでは……


=fin=