横山の事や福永の話しもして楽しく飲んだ。


俺達は一生独身かもなと笑いあった。



刑務所での暮らしも面白可笑しく語り僕を笑わせた。






それから数日して原田の母親から電話があり彼が首を吊って自殺した事を知った。


一瞬目の前が歪んだ。


背中がヒヤリとして悲しみより憎しみの気持ちが何故か沸いた。


僕は黒のジーンズに黒のジージャンを着て葬儀に出た。


その方が原田が笑ってくれると思ったからだ。お前らしいなと。


そしてもう一つの覆面を持って行き棺に入れて貰った。



葬儀には、少ない人数しか来て居なかったが、横山も来ていた。


歳を取り落ち着きはあったが相変わらず清楚な感じがした。


葬儀が終わり歩いて帰っていると横山が追いかけてきた。



刑務所から出ても組内での原田の立場は追い込まれていたようだと横山は言ったが僕にはそれは、原田の選んだ道なのだから仕方ないとしか思えなかった。


横山が歩きながら嗚咽した。



僕は、彼女の肩を抱き寄せポンポンと何度も叩き大丈夫だよと言った。



いったい何が大丈夫なのだろうとぼんやり思ったが、空を見上げて何も考えない事にした。


涙は全く出なくて現実味を感じなかった。