「ハァ…ハァ…」



意識が朦朧としてきた。



鷹の目が消えかける。




「鷹目!しっかりし……っ!!」



「はは…いっ…てぇ……」



「喋るんじゃない!!」



「兎…ちゃ…ん……」




兎は自分のシャツを脱ぎ、必死に傷跡を探しながらも止血しようとしている。




兎の必死な叫び声が耳元で聞こえる中、





ーーー俺は黒犬を見た。



銃と仮面を地面に落とし、涙を浮かべた瞳で俺を見つめている黒犬。



その手と唇は震えていた。



「…ふっ」



俺はーーー黒犬に笑って見せた。



これは俺の勝ちだな、黒犬。







ーーー次に、建物の陰に隠れている鼠を見た。



鼠、お前がそこにいるのはわかってるんだからな。



一週間前から俺をつけていたことも、全部分かってるんだぞ。



ふっ、お前はいい弟だった。



兎をよろしく頼むぞ。








ーーーそしてすぐに、窓の中にいるシーナとニカを見つめた。



ああ、愛しいシーナ、ニカ。



絶対に幸せになれよ…。



お前たちをーーー心から愛している。






ガシッ



俺は最後の力を振り絞って、兎の腕を強く握った。