そしてーーー
子供は産まれた。
「ーーーオンギャア!オンギャア!」
元気に泣き喚きながら生まれてきたニカを高く掲げる。
その姿はーーー
この残酷な世界の圧力に負けないくらい、逞しいものだった。
ふと思った。
この子はーーー
世界を変えてくれるのではないかと。
大事な『愛』を、
兎に伝えてくれるのではないかと。
「兎に見せてやりたい…」
『愛』で溢れたこの世界をーーー
見せてやりたい。
「うっ…グスッ…ううぅ…グスッ…」
見せてやりたい…!
見せてやりたい…!!
兎にも、黒犬にも、鼠にも、
ハカゼにも、シーナにも、
ニカにもーーー
『愛』で溢れたこの世界をーーー
見せてやりたい。
「ううぅ…グスッ…ううう…!!!」
見せてやりたい!
見せてやりたい!!
見せて、やりたい…!!!
「グスッ…ニカ…」
生まれてきてくれてありがとう。
お前はーーー
俺の一番の宝物だ。