「ーーーえ?」
黒犬の言葉に血の気が引いていくのを感じた。
今、兎を殺すって……
「ま、待てよ黒犬…」
動揺し声が震えた。
どうして兎を?
あいつは何も悪くないじゃないか…
「分かってくれ、鷹目」
黒犬は俺に近づいてくると、肩にポンと手を置いた。
耳元に顔が近づいてくる。
「それがーーー
俺の生きる『道』なんだ」
「っ!」
体が硬直した。
ドクン、ドクン
心臓の音が大きく聞こえた。
ーーー生きる『道』。
その『道』を作ってしまったのはーーー
紛れもなく俺だ。
「ーーー分かった」
ガシッ
黒犬の腕を強く掴む。
「じゃあ俺は兎を殺させない、絶対に。
ーーー交換条件だ。どうだ黒犬」
「ふっ」
黒犬は口元をニヤリとさせると俺の腕を振り払った。
そして仮面を被る。
「お前らしい変な条件だな、鷹目。
分かった、のったぞ」
黒犬はそう言い残すとーーー
すぐさま姿を消した。
「っ…兎」
拳を強く握る。
お前のことはーーー
絶対に守ってみせるからな。