「話したくないなら、今は話さなくていい。でも、あんま一人で悩むなよ。辛くなったら、いつでも俺に話して。」


「うん、ありがと。」


光貴は優しい。


基本的に優しい性格なんだけど、誰にでも優しい訳じゃない。

本当に、自分の大事な人にだけ優しいの。

荒木君やサッカー部の仲間、それから美雪と私、このメンバーには特に優しいから。


女子なら、きっと嬉しいよね、こういうの。




その日以来、光貴は今まで以上に、私に優しくなった。


今まで以上に、そっと側にいてくれた。


蓮のことは聞いてこないけど、やっぱり心配してくれてるんだなって感じた。



そんな光貴に、私は少しずつ、惹かれていったんだ。


最初は、そんな自分が嫌だった。


蓮を裏切ってる気がした。

光貴を、蓮の代わりにしようとしてる気がした。


でも、この時の私には、光貴が差し伸べてくれる手に、すがることしか出来なかった。


誰かにすがらないと、立っていられなかった。



こんなの、言い訳になるかもしれないけど、、。


恋は、新しい恋でしか忘れられない。


いろんなところで聞くこの言葉で、私は自分を守っていた。