「俺には、話せない?」


どこか悔しそうな顔の光貴。


「ごめんね。」


「心配なんだよ。最近の茉菜、何してても泣きそうな顔してるから。見てられない。」


「心配してくれてありがとう。でも、本当に大丈夫だから。」



私は無理して笑った。

それくらいしか出来ないから。


でも、光貴はそんなことではだまされない。




「好きな、奴のことか?」


「えっ?」


「茉菜、好きな奴がいるんだろ?そいつのことで、何かあったんだろ?それくらいわかる。」



さすが光貴だね。


いつも一緒にいるから、頭の良い光貴には、全てお見通しなんだね。


でもね、光貴。

どうしてそんな悲しい顔をするの?


私が、光貴には何も話さないから?

友達なのに、秘密にするから?



ううん、違う。


本当はね?わかってるんだ、光貴の気持ち。

いくら鈍感って言われてる私でも、さすがにわかるよ、光貴。


もし勘違いだとしたら相当恥ずかしいけど、でも、勘違いであってほしいとも思うんだ。


だって、光貴との今の関係を壊したくない。


私は、光貴の気持ちには答えられない。


蓮のことが、好きだから。