光貴は、この時も特に何も言わなかった。
荒木君が、光貴も何とかしろよって言ってたけど、
ここで俺が入ったら、ああいう奴らは余計に逆上するからって。
光貴も光貴なりに、ちゃんと考えてくれてたんだなって思った。
そんないろんなことも、1年が終わる頃には全然無くなっていた。
最初だけなんだよね、噂とかって。
時間が経てば、みんな忘れていくんだ。
「茉菜、最近どうした?元気ない。」
「そんなことないよ。」
たまたま部活が休みになった光貴と、二人で一緒に帰っていた。
蓮との約束の時が過ぎ、帰ってこない蓮に、連絡も返してくれない蓮に、私の心は乱されっぱなしで、、
何をしてても、蓮のことが頭から離れなくて。
自分でも、最近の私はうまく笑えてないような気がしていた。
でも、蓮のことを知っているのは美雪だけ。
美雪は小学校から私と蓮を知ってるし、私の一番の親友だから何でも相談もしてた。
でも、光貴や荒木君は、何も知らないから。
私のせいで心配かけちゃって、でも蓮のことを話す気にもなれなくて、申し訳なかった。
話していると、余計に蓮のことが心配になって、会いたくて、泣きそうになるから。