「朝食です。

 これを食べたら、あとは日が沈むまで我慢ですよ」

 香茶を小さな杯に注ぎ、ウルジャスに差し出す。

 盆の上に載っているのは、茶器の他は小麦粉を練って焼いた塊だけ。

 【殯】の間は日中食を断つのが習い。

 長い歳月を経て形式ばかりになりつつも、肉も魚も口にせず亡きひとのために祈る仕来りは変わらない。

 育ち盛りには余りにも貧相な食事を、ウルジャスはつまらなそうに指先で突付いた。