「早く一族に帰りなさい、アギ」

「なんだと?」

 掬い上げるように睨むシェイスに、アギは眸を険しくする。

「一度、云いたかったんだ。

 あたしは、あんたのものじゃない」

「なにを云いたい?」

「あたしは、あんたの子供なんて生まないってことよ」

 言葉を切って、シェイスは息を吸う。

 話し続けるだけで、呼吸が苦しくなる。

 それが、弱った身体のせいか、自分で吐き出す毒のせいなのか。

 自分でもわからなかった。