「褐色の、肌。

 漆黒の髪。

 漆黒の、眸。

 お前は『外』の民ね」

 ぽつん、ぽつん、と一言一言確かめるように、インシアは呟く。

 磨き立てられた床に鉱石を落とした音みたいだと、シェイスは思う。

 据えられていながらもシェイスを見ない眸は、盲を思い起こさせる。

 シェイスの知る盲目の女も、見えないくせに視線だけはぴたりと、シェイスに合わせて笑った。

 眸にものを映す代わりに、シェイスの纏う空気全てを掻き集めて像をつくり、頭に浮かべ、それに向かって語りもした。

 目明きのインシアだが、同じ印象がある。

 見えないなにかを見える目で束ねようとする意思めいたもの。