バイクを走らせていたら
お父さんに会いたくなって
再びおばさんの街を目指した


会いたくて

お墓に来たのに


冷たい墓石が、お父さんのぬくもりとは
似ても似つかなくて、お墓の前で座り込んで、ただ見つめるだけだった


携帯が鳴った


てっちゃん…?

と、思ったけど

着信は、私の主治医 栗原さん


『もしもし!!めぐちゃん!!
今、良い知らせが入ったんだ!
僕の養子になって、一緒にアメリカ行かないか?船でさ!
向こうのDr.が、めぐちゃんを手術出来るっていうんだ!!』


『考えさせて下さい』


『あぁ…そうだね!
ナイト達にも話さないとね!
向こうのDr.から、連絡貰って嬉しくて!!
めぐちゃん!!生きられるんだよ!!
もっと!もっと!!
出来れば、早めに返事くれる?』


『わかりました』





大喜びの栗原さんと違い

私は、冷静で何の感情も湧かなかった

ごうちゃんには、石井さんがいる

私は……

あっちゃんを困らせて

てっちゃんを怒らせた



また、さよならを言わずにいなくなったら
怒るよね

生きてるうちに、さよならしてアメリカに行きたい

手術受けても、絶対成功なんてない


それとも……





三兄弟と過ごす為に、ここに残る?








どれを選んでも、別れしかなかった





私は…死ぬ






辺りが薄暗くなった頃


陽さんの電話をならした



「もしもし、陽さん?
……そうなの、ごめんなさい
今から、家に行っていい?
相談したいことがあるの」


陽さんとの電話を切って、お父さんに




「もう、ここには、来れないから
さよなら…お父さん」