「……そんなこと言われても……。」
「でもね……私は九年前は君のことは好きだったんだよ。」
「……え?」
那由多はいたずらっぽく微笑んで紅茶を飲んだ。
「今は分からないけどもしかしたら天都君と仲良くしたのは目的のためなんかじゃなくて私の本当の心かもしれない。無意識のうちに昔のように戻りたかったんだと思う。」
気が付くと那由多のガトーショコラは無くなっていた。俺は慌ててガトーショコラを食い尽くす。
「……話してくれてありがとう。」
「うん。」
「那由多は……君を閉じこめた女子達を恨んでる?」
「……その答えはもうすぐ分かるよ。」
その途端に俺の携帯が鳴った。崇からだった。
『今すぐ集合!桜庭公園に。』
「桜庭!?隣じゃんかよ。何で?」
『今あの女子と集まってるから。那由多は連れてこなくていい。ちょっと来い。』
「……あぁ、分かった。なるべく早く向かうよ。」
そうして俺は那由多を見つめた。
「何か用事出来たの?」
「うん……。」
「じゃあまた今度話そう。」
那由多は微笑んでそう言ってくれた。