修学旅行が終わってから那由多はしばらく学校を休んでいた。ソファに横たわりながらクッションを抱く。

「……お姉ちゃん……。」

 目をつぶると脳裏にあの記憶がよみがえってくる。あの日は私の誕生日で寒い日だった。

『暁にもう会わないで!』
『ここで私が来るまで待っててよ!』

 そう言って屋上に閉じ込められてしまった。待っている間に雪は降ってきてどんどん凍えていった。そして私はあまりの寒さに助けを求めながら頑張ったけれどその声が届くことは無かった。


『じゃあ席は天都暁君ね。』

 転校してきて高校では大丈夫だろうとたかをくくっていたけれど天都君はその予想をあっさりと裏切ってくれた。けれど他の男子と同じように扱うことは出来なかった。