転校生・颯簷那由多はたちまち男子の高嶺の花になった。高校生になって彼女が欲しいなーと密かに想う者は居るのだ。彼女は確かに美人で言葉遣いも丁寧。その上転校初日に行われた実力テストでトップになるほどの頭脳を持っていた。誰に対しても気さくで親しみやすい会話をする。これが一週間で見いだした全体的な評価だ。


「……もう慣れた?」
「うん。学校案内とか色々ありがとう。」
「……別に。」
「そう言えば……天都君は何か部活に入ってるの?私とちょっとまだ分からなくて……。」


 しばらくしたら何か疑問に思うことが増えた。他の人は暁君と呼ぶのにこいつだけ名字で呼ぶのだ。クラスに慣れしたんだ彼女なら名前で呼んでもおかしくはない。

「……ん?天都君より暁君の方が反応しやすい?」
「あ、……うん。暁って言葉が嫌い?」
「……。さあね……。」


 なんか突き放された気がした。あまり触れてほしくなかったのかな?と思いながら現在俺が入っている部活について話すことにした。


「俺はパソコン部に入ってるんだ。部員はえーっと……5名。部費は要らないんだけど……。取り合えず見学する?」