季節は巡って十二月。俺達は今新幹線に乗っている。

「しかし前代未聞だよな……。那由多と暁が班なのは分かるが何で別クラスの俺も入ってひとつの班だわけ?」

 俺のとなりで崇はぶつぶつ言っていた。那由多は目の前で眠っていた。

「……分かんないな。」
「それよりも!お前……何か那由多を前にするととんでもなく弱いな。」
「うるさいっ。お前のせいだろ!」

 そう。崇に色々言われてから那由多の事が頭から離れなくて気が付いたら好きになってしまったのだ。今でも那由多の寝顔可愛いな、等と思ってしまう。

「ふーん。好きになったんだ?」
「それはその通りだけど……。」
「ま、せいぜい頑張れよ。」


 崇はにやりと笑った。


「この修学旅行で距離が近くなるといいね。」


 崇の言ったその一言は修学旅行をきっかけにもっと離れてしまう事になる。この時にはまだ俺には知る由も無かった。