那由多が転校してきてひとつきが経った。今日は土曜日で珍しく崇が勉強をしに来ていた。
「……暁さ。那由多のこと好きなの?」
「……はっ?」
いきなりそう言われた。
「最近……お前の目は那由多を追っているしそれに笑うようになったし。変化した理由と言えば那由多だろ。」
自分では気付かなかった。確かに笑うようにはなった。でもそれは好きだからなのだろうか?
「……分からないな。」
「ふーん。じゃあ他の女子と比べたら?」
そう言われ、うーん……と唸る。那由多は他の女子と比べて楽に話せるし軽くボケたり突っ込んでくれたり、時々庇ってくれるし優しいし……何よりも料理がうまい。
「全部口に出てる。」
崇に指摘されてハッとする。ここまで言うと那由多が特別な存在に見えてきてしまう。
「……それだけ他の女子よりもよく見てるって事だな。」
「やっぱり……那由多は違うんだな……。」
崇は驚く。こんな暁を今まで見たことがない。むしろいつも那由多と話しているときは安心して預けきってるようなそんな気がする。これはあいつにとってちょっと厄介かもな、と崇は帰るふりをして那由多のところに行くことにした。