『着いた』


あたしと翔平は
原付を降りて
海の方へ歩いた。


「よくさぁ、2人で来てたよねぇ」


『来てたなぁ。バスでだったけど』


翔平がそう言ったとき
二人で爆笑した。


いつ以来だろう。


こんな風に
翔平と話して、
心から笑えたのは。


翔平といるときは
いつも楽しかった。


だけど心から
楽しめてない気がした。


翔平のこと
意識してるからかな…。


あたしが俯いてると
翔平があたしの顔を
覗き込んできた。


『どうしたぁ?』


…!


ビックリした…。


「なんでもないよ。楽しかったから」


『そっか。久しぶりだもんな』


そう言って
翔平とあたしは
浜に腰を下ろした。