クロくんが院生ね……。


そっと観察しているくらいが丁度良いのだが……。


そうもいかなくなりそうだ。


これも何かの縁なのか?


それともーーー連鎖


いや、


恋鎖?









デスクの上にある一輪挿しからガーベラを抜き手に取る。


大切そうにいつだって君は


ガーベラをそっと炭酸飲料の瓶に挿していたね。


安いボロアパートの小さなテーブルに不釣り合いなガーベラの花。


それだけで幸せを感じた。


実際、幸せだった。


けれどーーーー


人は時に残酷な選択をせざるを得ない時もある。


あの時のガーベラの花は色褪せた。


もうないんだ。


分かっているのに。


分かっているのにーーー














切りようのないこの繋がりに


私は未だ惑わされるのか?


終わりないこの不完全な恋鎖にーーー









 





だから私は答えを求めるべく





だから私は





だから今日もーーー














私はそっとガーベラの花を一輪挿しに戻した。















【不完全恋鎖】