開いたページには、ミオの写真がある。


ただ一枚撮っただけの写真。それでも、その写真にはミオの全てが写りこんでいた。


お菓子を作るという工程の、まだ最初の段階でしかない、粉をふるいにかけることを楽しんでいるミオがそこにはいた。


手元を見ながらも、出来上がったケーキを夢見ている瞳は輝いている。わずかな曲線を描く唇はその工程を楽しんでいるし、ふるいに添えられた手は、優しく丁寧だ。


この写真をコンテストに送ることには迷いがなかった。


被写体を、ミオを見てもらいたかった。


ひたむきに、真摯にケーキに向きあうミオが誇らしいと思った。