「初瀬さんは、どうしてそんな荒れてんの?」

「・・・・二人が悪いんだよ。私とお兄ちゃんを・・・私達の目の前で捨てて」

私はあの喧嘩をすべて話した。

喧嘩して、お兄ちゃんが引き取ってくれた事。

それから段々荒れてった事も。

「・・・・・そっか。そういう事あったんなら当然かもね・・・」

「え?」

僕らみたいな大人の言う事を聞かない事がらしい。

そして、二人の友達と、たった一人の家族しか信じられなくなった事。

月丘健一は、真剣に頷きながら聞いててくれた。


しばらくして、私の目からはあふれ出る涙が・・・。

「・・・泣かないで。これからの人生を見なくちゃ。泣いたり俯いたりしてちゃ幸せ逃げるよ?」

頬を伝う涙を、月丘健一が拭いてくれる。

「泣いてなんか・・・・ねぇよ・・・」

「・・・・そっか」

微笑んで、頭を優しく撫でてくれた。

まるで・・・・・あの時のお兄ちゃんの手みたいに心が安らいだ。