「…無理だし、帰る。」






「…お前、なんでいつも最初から諦めてんの?」








加瀬から話しかけられたのは、この時が初めてだった。







「…別に。将来やりたいことなんてないもん。」








「これから見つけりゃいいだろ。」








「見つかる保障なんてあるの?」









冷めた会話が続いてた。








「俺が、俺が夢を見させてやる。だから、お前は俺に勉強を教えろ。」








言ってる意味がわからなかった。
夢を見せるって何?
大体夢って見るもんじゃないでしょ。









「…あまりにも出来が悪かったらやめるから。」








そう言って私は教室を出た。