実際オーストリアでもたくさんの友達ができた。
英語は話せなかったが父に教わりながらなんとか話せるようにはなった。



それから数年後たったある日センちゃんがやって来た。



「詩茉、今日から一緒に暮らす犬塚千景君だよ。仲良くするんだぞ。」



当時のセンちゃんは同い年だったのに大人びていた。
英語はペラペラだし、第一印象は澄ました男の子だった。



「♩〜大きな栗の木の下で〜」



センちゃんは父といつもピアノの練習をしていた。
そのせいか自然と耳に音が入り、なんの音なのかわかるようになっていた。いわゆる絶対音感だ。



当時クラスでは日本の音楽が流行っており音を聞いては家のピアノで歌いながら弾いていた。