「感動の再会ってか?」

突如真後ろから聞こえた声に
私は來輝をつき飛ばしてしまった。

「…いってぇぇ」

「あ!ご、ごめん。來輝」

「…チッ。なんだよ、優弥」

來輝は床に尻餅ついたままの状態で
私をガン無視して
真後ろにいる
優弥…さん?と言う人に声をかけた。

「邪魔して悪かったね。でもあんま人前でイチャこらすんなよ?」

なんてニヤニヤしながら言ってくる。

この人は…

やけに大人の雰囲気を醸し出す
男の人。
でも、なんかすげーチャラそう。
いや、こりゃ確実にチャラい。

100%そうだ。

見た目からしてチャラ男だし。

ピアスじゃらじゃらつけてるし
服装だって、

けど
たくさんのアクセをつけてんのに

バランス悪いとは思わないのはなぜだろ。

なんか
こんだけアクセをつけてんのに
こんなにまとまり感を出せる
この方はすごいとおもう。

「そんなじっと見ないで?杏ちゃん」

ニコッとした優弥さん。

何これ、天使?

なにその、スマイル。

「…そんなに見るなら」

グッと私を抱き寄せた優弥さんは

「襲っちゃうぞ」

語尾にハートでもつきそうな勢いで
耳元に囁いてきた。

ふいにドキッとしてしまった。

顔を真っ赤に染めてると

「あほか!あんころ!
こんな奴なんかにドキッとすんな!」

って頭を叩かれた…

それで腕を引っ張られ
今度は來輝に抱きつかれる形になった。

私今日で何回ハグされただろう。

しかもイケメンに。

幸せすぎだよね、これ。

なんて

久しぶりの幸せと言う時間に

浸ってた。

のもつかの間。

「あいつどーすんの?」

突然の優弥さんの声。

真剣で、今さっきとは比べ物にならないくらい。

「もちろん、叩き潰す。けど、なかなかすぐにそうもいかねぇよな、」

「東城会の奴らだろ?」

頭上で繰り出される

來輝と優弥さんの会話。

なんとなく

なんの話してるかはわかった。

でも聞きたくなかった。

忘れたいから。

「杏ちゃん」

優弥さんが屈み、私に身長をあわせて
話してくれた。

それに少しドキッとしてしまった。

あいつの話を聞かなきゃならないから。

「今ね、杏ちゃんの…お父さんがね
必死で杏ちゃんを連れ戻そうとしてる。
今見つかると、危険なことになる。
杏ちゃんも知っての通りあいつは
東城会の組長。下手に動けば
もう杏ちゃんに自由はなくなる。
だからね、」

「…あの」

どうしよう。

こわい。先を聞くのが。

簡単にゆえば私はこの人達のお荷物でしかない。
東城会を敵にまわすのはさすがに
やばいって私自身一番わかってる。
私といればこの人達の命が狙われる。

だから私は。

「最後まで聞いて杏ちゃん」

優弥さんが私の肩をしっかり掴み
下向いてた
私の顔も目の前にある優弥さんの
顔を見て、
優弥さんは私を真っ直ぐ
見つめてくれてた。

そして


「俺らが守ってやっから」



後ろにいた來輝がそう答えた。

「…!」

グッと涙を堪えてたつもりが

ばぁっと溢れだし

そんな私を優しい笑みで見据え

頭を撫でてくれた來輝が

「たしかに、東城会の野郎は
やばいと思ってる。けどな?
負ける気はねぇし。
あいつにお前を渡すつもりもない。
それはここの皆が思ってることだ。
最近お前の情報が入ってきて
助けるのに時間かかっちまったけど
ここの皆が協力してくれたから
今ここにお前がいる。
俺らは全力でお前を守ってやる」

來輝がそう言い切った時には

私は涙出前が見えないほど

声をあげて泣いていた。

そして後ろにいた大勢のお兄様たちも

口々に声をかけてくれた。

あぁ。

なんでもっと早く出会えれなかったんだろう。

こんなに幸せと思える時があるなんて

思いもしなかった。

こんなにも沢山の人に思われ

沢山の大切な人に出会え

私は

本当に幸せだと思う。