あまりさぼっているわけにもいかず、あたしはまた学校にいった。
そろそろすることもないというか。本格的に金がないので、帰るなら給食を食べた後にすべきだと気付いたというか。
隣の笹木野がノートを貸してくれるようだが、あたしは遠慮して断った。
その優しさはあたしじゃない奴に向けて欲しいものだ。
あたしに何を期待しているのか知らないが、中学生男子の欲情のはけ口なんかにならんぞ。
時々、そういう勘違いをしてあたしに近づいてくる奴がいた。
「いや、そんな思ってないというか…いや、思ってなくはないんだけどっ」
顔を真っ赤にした笹木野の言葉に、あたしは頭の中で考えていたことを全部口に出していたことを知った。
思ってないこともないのか。あんた普段はそんなこと全然考えてないような爽やか少年なのに。
かわいい反応に、あたしは思わず笹木野の頭をありがとな、と言いながらぽんぽんと叩いた。
母親か、もしくは姉気分である。