「そんなことがあったんだ」
話を聞き終わったあたしは目を丸くしてそう言った。
葵は気まずそうな顔をしている。
「ほんっとお兄様は馬鹿というか…頭がいいのに、どうしてこんなんなのかしら。
連絡を貰った時は息が止まるかと思ったわ」
夢香が深々とため息を吐いた。
言葉とは裏腹に夢香は泣きだしそうな顔をしている。
きっと夢香のことだから、内心葵のことを凄く心配したに違いない。
「でも、分かったことがある」
葵が包帯の巻かれた右手を見ながら呟いた。
「何?」
あたしはその呟きに小さく首を傾げる。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…