そんな単純なことに気付いて、葵は小さく笑った。

「突然どうしたんだよ…」

三宅が不思議そうに首を傾げた。

「自分を有りのままみてくれる奴に感謝というかなんというか」

気分の悪さが幾分ましななってくる。

あっさりと肺は空気を吸った。

「何、彼女?」

「違う。猫」

興味津々に尋ねてくる三宅へ葵はさっくりと返した。

「はああぁぁ?」

「前に捨て猫の様子見に行ってきたって言っただろ。そいつ」

「でも、あれは嘘なんじゃ…」

納得出来ない様子の三宅を放って葵は静かに目を閉じた。