振り返った先で銀色が光る。

「君が悪いんだ」

熱に浮かされたような声が耳に張り付いた。

銀色がカッターナイフの刃だと気付いた時にはもう、それは葵に向かって振り下ろされようとしていた。

反射的に右手で顔をかばう。

ざくりと肉を裂く嫌な音が聞こえた。

「君がいなければ僕が一番になれるのに。君がいるから、君がいるから、僕は一番になれない!!」

叫びを聞きながら、じんとした熱さと血の流れる感覚に葵は座り込む。

出血した右手がどくどくと脈を打っていた。

葵は男子生徒を見上げる。

「幕間!?」

裏門の方から葵を呼ぶ声がした。今度は聞き覚えのある声だ。

名前は確か、三宅彰文。