那は胸の高鳴りを押さえられず、仕方なく図書室をあとにした。 本当にどきどきがとめられなかった。 名前を知りたいと思った。 学年も知りたいと思った。 恋人はいるのかなと考えた。 人のことをここまで知りたいと思ったのは久しぶりだった。 どんな風に話すのか、とか。 笑顔はどんななんだろう、とか。 感情ひとつひとつを知りたくなった。 とめられなかった。 あまりに寝顔が素敵だったから。