新さんが帰って来るまで、パラパラと資料を見ていた。

30年以上前に大ヒットした実写版シンデレラのリニューアルらしい。
世界的に大ヒットさいた作品だから、期待も大きいだろうにピリピリした様子がなくて凄いな。

白黒映画だったのに、ジュエリーも一つずつ細工が細かく美しい。

「そのシンデレラのティアラのデザイン、理恵子さんだよ」
「本当ですかって、早い。おかえりなさい」

新さんはパンを数個紙袋に入れたのを持って現れた。
紙袋って当たりがちょっとオシャレ過ぎて、隙がなくて嫌だ。

「日本人でこの映画に携わったのって恵理子さんだけだろ。俺がジュエリーのデザインに興味持ったのも映画だから、尊敬する」
当たり前の様に隣に座ると、紙袋からパンを取りだして資料を眺め出す。
「あ、珈琲入れましょうか?」
「俺に気を使わなくて良い。それより弁当見せろ」
頬杖付きながら私のお弁当をニヤニヤ見る新さんが、何を考えてるのか良く分からず警戒しながらもお弁当の蓋を開ける。
「あれ、普通じゃん」
「ふ、普通に決まっているじゃないですか」
「もっと目がチカチカするかと思った」