これ以上雑用が増えるぐらいならまだ平気なんだけど、重要な仕事をまさか契約社員の私に任せないよね?

肝を燃やしながらも、その考えは最悪な方向へ転がって行ったりするのである。


「おい、飯を食べに行こうって話しだったんだが――お前、持って来てんのか?」

仕事がひと段落付いたからと、何処に食べに行きたいかと尋ねられて私はおずおずと弁当をカバンから出した。

「田舎から送られてきた野菜の消費か追いつかなくて」
「ってことは理恵子さんが作った野菜か?」

庶民臭いとか田舎臭いとか言われるかと思ったら、意外と新さんは目を輝かせた。

「いえ、祖母は目が悪いので畑には出てません。今は茶道の先生やってます。これは母です」

「なんだ。じゃあ、いらん」
いらないって、人のお弁当を奪うつもりだったのか、この人。

「まあ、適当になんか買ってくるから、お前も休憩してろ」
「はい」