「ありがとうございました」
そう言ってタクシーを降りる。
目の前には自分の家のマンション。
3階まで階段で上がり、鍵を開けて家に入る。
電気がついてないからまだ帰ってきてないみたいだ。
ソファに座りテレビをつける。
そして携帯を取り出そうとカバンを開けると、今日おばあさんからもらった可愛い刺繍入りのハンカチが出てきた。
俺には似合わないな。そう思って笑う。
でもやっぱり人に感謝されるのは気分がいい。
ハンカチを綺麗に畳んで、机の中にしまう。
それにしても、今日あの場にいた女の子。
ちょうど弟ぐらいの年の子だったなぁ。
案外弟の友達だったりして。
その時俺は、まだそれくらいしか思っていなかった。