戸川先輩の帰って行く背中を見ながら真子先輩が不思議そうにつぶやいた。
「啓太、どうしたんだろ?」
俺には分かった。戸川先輩は真子先輩のことが好きなんだ。
でも、真子先輩は戸川先輩の気持ちなんて全然わかっていない。
だから、真子先輩と一緒にいる俺を見て、敵対視してたんだと思う。
「なんかごめんね、いつもはもっと良い奴なんだけど」
先輩が申し訳なさそうに謝ってきた。
「あ、全然大丈夫。それよりも大樹くんだっけ?可愛かったね」
戸川先輩の弟かな?本当に可愛かった。
あの子も大きくなったら絶対戸川先輩みたいに格好よくなると思う。
「うん、可愛いでしょ?あたしの弟みたいなもん」
そう言って笑う真子先輩。
子供好きの先輩も…いいな。
そう思って俺も笑った。
その後も2人で焼きそば食べたり、かき氷を食べたりした。
「あ、射的だ」
そろそろ帰ろうかと思っていると、真子先輩がそう言った。
「先輩、やりたい?」
そう聞くと首を振った。
「ううん、でも見たいな」
先輩がそう言うから俺は先輩の手を引いて射的のとこまで行った。