「兄ちゃん、あっちにりんご飴があるよ!」
「ちょっと待て!一人で行くと迷子になるぞ!」
俺はそう言って大樹の手を掴む。
「兄ちゃんの手を離さないこと。いい?」
俺がそう言うと大樹は元気よく頷いた。
大樹とりんご飴屋に向かう。
「りんご飴1つくーださい!」
「はいよ!300円だよ!」
大樹は首から下げているお財布から300円を出す。
「兄ちゃん、300円ってこれで合ってる?」
手のひらにお金を乗せて俺に聞いてくる。
「お、正解!すごいぞ大樹」
そう言って頭を撫でる。
大樹は嬉しそうに笑ってる。
「坊や偉いねぇ!はい、落とさないようにね!」
そう言っておじさんからりんご飴を受け取った。
「食べて歩くと落とすからな。あそこに座ろうか」
俺は少し離れたとこのベンチを指さした。
「うん!」
大樹は買ったりんご飴を大事そうに持って俺についてくる。
そして、ベンチに座った。
「落とすなよ?服が真っ赤になっちまうから」
そう言って、大樹のズボンの上にハンカチを引く。
「うん!」
そう言って大樹はりんご飴を食べ始めた。
俺はボーっと人ごみを眺めた。
真子、いねぇなぁ。
でもいたらどうするつもりだ?
声とかかけるか?
そう思っていたら、