キーンコーンカーンコーン



チャイムの音が聞こえて目を開ける。

ここは僕…いや、俺のお気に入りの場所。

この中庭のベンチはあまり人が来ない。

静かでいいところなんだ。

教室戻んなきゃ。

そう思って起き上がる。

すると、パサリと何かが俺の肩から落ちた。

広げると肌触りがいい、薄いブラウンのカーディガン。明らかに女物。

でもこれを見て、誰のかすぐに分かった。

この前ここで話した時も着ていた。



「真子…先輩」



真子先輩がいたんだ。

そう思ったらなんだか笑みがこぼれた。

起こしてくれれば飛び起きたのに…。

なんで起きなかったんだ、自分。

でも…嬉しい。これを返すのに、真子先輩に会える。

俺は一人でニヤニヤと笑った。

周りから見たら変な奴だろうな。