「久保山 秋」



「はいっ」



担任の原田先生に名前を呼ばれた秋。

階段を上り檀上の真ん中に立つ。

そして校長先生から卒業証書をもらう。

そう、今日は星城高校の卒業式。

あたしたちの、卒業式。



「戸川 啓太」



「はい」



出席番号であたしの前の啓太が呼ばれる。

次はあたしだ。なんだか自然と背筋が伸びる。

そして、



「七海 真子」



「はい」



原田先生と目が合う。

あたしが微笑むと先生も笑ってくれた。

一段一段階段を上り校長先生の前に立つ。



「七海さん、卒業おめでとう」



まんまると太った校長先生から、卒業証書を受け取る。



「ありがとうございます」



そして後ろを振り返ってお辞儀をした。

顔を上げると、2年生の列の一番前に隼人くんを見つけた。

小さく手を振っている。

あたしは隼人くんに微笑み返し、檀上を降りた。

あたしは今日、卒業します。