「ねぇ、これ啓太にそっくり!」



真子がタヌキの置物を指さしてそう言った。



「に、似てねぇよ!!ぜんっぜん似てねぇ!!!」



俺が怒ると真子はケラケラと笑った。

それを見て、なんだかホッとする。

俺は昨日、真子にフラれた。

いや、でもわかってた。

分かってたし、松永ならいいって思ってた。

真子を大事にしてくれるって思った。

だから、今は真子がこうやって普通に接してくれて嬉しい。



「ふん、じゃあこのカエルは真子にそっくりだな!」



近くにあったキーホルダーのカエルを掴んでそう言うと真子はぷんぷんと怒り出した。

それを見ていた秋が一言、



「全く、あんたたち2人は子供だねぇ~」



そう言ってあきれていた。

今、帰りの京都駅でお土産を買っている。

八橋やら、抹茶だんごやら、いろんなお土産があって迷う。

大樹は抹茶は苦手だから、このイチゴの八橋を買ってやろう。

おっ、このチョコバナナって言うのも気になる。



「ねぇ!八橋にチョコバナナ味があるよ!」



後ろからひょっこり顔を出した秋が言う。

そこに真子もやってきた。



「ホントだ!あたし大ちゃんのお土産これにしーよう!」



そう言ってチョコバナナ味の八橋を手に取る。



「お、俺それにしようと思ったのに!」



「早いもの勝ちだもんね~!」



そう言って真子はベーッと舌を出す。

まぁ、しょうがない。それは譲ってやろう。

そんなこんなでお土産をたくさん買って、俺らの卒業旅行は終わった。