「…ねぇ、真子ちゃんは隼人のこと好きなの?」



そう、俺は分かってしまった。

真子ちゃんが隼人を見てる目は、俺や隼人が真子ちゃんを見てるのと一緒だったから。



「あっえっ!?キャッ!!」



「おっと!!」



動揺した真子ちゃんは床に置いてあった本につまずいて、危うく顔から床に倒れるとこだった。

俺が腕を掴んだからギリギリそうはならずにすんだけど。



「ははっ動揺しすぎだって」



俺はそう言って真子ちゃんを椅子の上に座らせた。



「す、すみません」



真子ちゃんは顔を赤くしてうつむいた。

そして



「…よく…わからないんです。好きって気持ち」



そう言って困ったように笑う真子ちゃん。

俺は真子ちゃんの頭にそっと手を置いた。



「まぁ、そんな急がなくていいと思うよ。ゆっくり考えなよ、好きって気持ち」



俺がそう言って頭を撫でて笑うと、真子ちゃんも笑った。

真子ちゃんのことは本気で好きだ。

でも、弟の隼人のことも大好きだ。

2人が幸せなら、俺は嬉しい。

2人がこの先笑っていられるならそれでいい。



「じゃあ続き、始めよっか」



「はい!」



結局土日の2日かけて引っ越しが完了した。

新しいマンションが出来るのは来年の4月予定だ。

だから約5か月間ほど、真子ちゃんちにお世話になることになった。