『決勝戦、青、霧山中学3年、七海真子』
「はいっ!」
『白、大谷学園中学3年、中野さと子』
「うっす!」
あたしは県内の総合体育館にいた。
空手の市の大会を優勝して、今日は県大会の決勝戦まで残った。
あたしは幼稚園の年長さんから空手を始めた。
始めたきっかけは、ママ会でみんなで入ろうという話になったかららしい。
でも始めてみると楽しかった。
特にあたしは運動神経は全くなかったけど、格闘技のセンスは
人より持っていたみたいで、どんどん上達していった。
そして気づけば、小学6年の時には全国で5本の指に入った。
中学でももちろん空手は続けた。
そして今日は中学生の最後の大会。
相手はあたしの一番のライバルの中野さんだった。
中野さんとは大会ではよく当たった。
実力も五分五分で、本当にいいライバルだった。
「はじめっ!」
審判の合図とともに試合が始まる。
なんとかあたしが有利に立ち、前半はあたしが勝った。
そして、後半戦が始まった。
「ハイ!ヤー!」
もう後がない中野さんは本気で突っ込んでくる。
「エイッ!ヤー!」
後半戦は互角の戦いだった。
わずかにあたしがリードしていた。
そして残り時間がもうすぐになった時、
「ヤァーー!!!!」
中野さんが渾身の力を出してあたしに突進してくる。
でも焦った時ほど、スキは出てくる。
あたしは中野さんの腕をスッと持ち、そしてそのまま背負い投げをした。