「だ、誰か!ふんどししてる人いませんか!?」
啓太がそう叫んでいる。
「え?ふんどし?お題難しすぎない!?」
秋がそう言ってクスクス笑う。
た、確かに難しい。今どきふんどしなんて…
「今日お弁当がキャラ弁の人!!」
「アニオタの人いませんか!?」
次々に選手の人が聞いてくる。
なんだかなかなか難しいお題が多いみたい。
ボーっと見ているとこっちに向かって走ってくる人がいる。
見間違えるはずない。あれは…
「隼人く、…っ!」
名前を言う前に、隼人くんに手を繋がれた。
「先輩、一緒に来て」
「え?ちょっと」
隼人くんに引っ張られて、トラックの中に入る。
そして、そのままゴールに向かって走る。
隼人くんはあたしの走るペースに合わせてくれてるみたい。
それがまたあたしの心を苦しくさせる。
久々に繋がれた隼人くんの手は熱い。