「俺にしとけよ」
そう言って啓太はあたしをギュッと抱きしめる。
あたしはびっくりして固まった。
「俺なら、真子を泣かせたりしないから…」
そっとあたしから離れて視線を合わせた。
「…好きだよ、真子」
そう言う啓太の目は真剣。
今まで見たことがないほど真剣。
あたしはびっくりして目を見開く。
え?啓太が?誰を?あたしを?…好き?
啓太が言った意味が分かってあたしの顔はポッと赤くなる。
「え?あ、えぇ?」
しどろもどろになると啓太がクスッと笑った。
「ま、返事はいつでもいいからさ」
そう言ってあたしの腕を持って立ち上がらせる。
「帰るぞ!」
ニッと笑ってあたしの手を握る。
そんな啓太の手はすごく、あったかかった。