風呂から出ると真子先輩が変な奴らに絡まれてた。

そいつらが先輩の腕を掴んだとき、すっごいイラっとした。

ちょっと腕を掴んで睨んだらすぐに逃げて行った。

でもつい、昔のように低い声を出してしまった。

真子先輩の前では出したことないような声を。

絶対怖がられた。嫌われたかも。そう思っていたら、



「…格好良かったよ」



そんなことを言われた。

先輩はずるい。不意打ちでそんな事言われたら…

俺は顔がタコみたいに真っ赤になった。

しかもよく見ると、先輩はピンクの浴衣を着ている。

いつもより少し大人っぽく色っぽく見える。

それがさらに俺の顔を赤くした。



部屋に戻るとちょうど旅館の人が夕飯の準備をしてくれてるところだった。

机には懐石料理がいっぱい。



「わぁ!すっごい美味しそう!!」



真子先輩の目がキラキラと光る。

でもその気持ち、ものすごくわかる。



「さぁ、じゃあ2人とも、食べようか!」



兄貴がそう言って席に座る。

俺と先輩も席に座った。



「こちらが真鯛のお刺身で、こちらはこれをかけてお召し上がりください」



女将さんが一つ一つ丁寧に説明してくれた。

そして3人で手を合わせていただきますをした。

ご飯はどれもおいしいものばかりだった。